バラを育てていると、一度は挑戦してみたいと思う「挿し木」。
挿し木はバラだけでなく、さまざまな植物でよく行われている増やし方の一つで、コツさえ知っていれば誰でも簡単に行うことができます。
挿し木のメリット・デメリット
ご近所でバラの素敵な花をいただいて、あまりのそのバラの花の良さに「育ててみたい!」と思うこともありますよね。日本ではあまり挿し木で育てられたバラは人気が多くありませんが、海外ではOwn Roots(オウンルーツ)つまり、自根としてよく販売されています。
挿し木のメリット
- 自根のため大きく育てば強い
- 癌腫にならない
- 耐寒性が高い
- ご近所などでもらったバラを増やすことができる
挿し木のメリットは何といっても、花を見ていいなぁ~と思ったものを自分でも手軽に育てられるところにあります。バラの品種は多く、気に入ったバラを探すのは意外と大変です。しかし、気に入った花の茎から苗を作ることができる手軽さはやはり最大のメリットだといえます。
またバラの病気としては致命的な癌腫の発症も挿し木ではなく、しっかりと育てば強い苗になることも挿し木のメリットです。
挿し木のデメリット
- 根がつくかどうかの保証がない
- 初期育成が遅い
- 最初の管理が手間
挿し木の一番のデメリットは、挿したからと言って絶対に根がつくわけではないことです。挿し木のポイントを抑えていれば、高い確率で根が張りますが、それでも必ず根が付くものではありません。また根がついても、初期の育成スピードが遅く、大きな根に育つまでに時間がかかってしまいます。
根が張るまでは水やりの頻度も多く、時期によっては葉が黄化したり、うどんこ病にやられたりといったこともあります。
挿し木は難しい?弱い?
日本ではなぜかバラの挿し木は「弱い」と思っている人が非常に多くいます。確かに、海外のようにバラの挿し木苗が普通に流通していて、どこででも手に入れることができるわけではありませんが、だからと言って挿し木が「弱い」理由にはなりません。
挿し木は確かに根が張るまでに時間がかかり、成長のスピードが遅いといったことがあります。
しかし、しっかりと大きく苗が育てば、流通の多い切り接ぎ苗や芽接ぎ苗より自根である挿し木の方が強いことも多々あります。また癌腫になることがないため、最近では挿し木を見直す動きも出ています。
挿し木はいつ行う?上手に挿し木を行うポイント
バラの挿し木は、気候の条件が挿し木に最適な6月から7月に行うのがもっとも最適です。冬差しの場合は12月から2月に行えますが、夏の挿し木よりも根が張る確率が下がります。
発根促進剤を使うと、根が張る確率が高くなりますが、夏差しの場合は無くても高い確率で根を張らすことができます。
使うべき枝はどんな枝?
根がつきやすいのは、開花後の充実した枝です。柔らかいものより、硬く締まった枝の方が根がつきやすいです。5㎝から10㎝くらいの長さにカットして使います。
挿す部分は斜めにカットし、土に差します。
この時に土に入る部分に2芽くらい入っていると、より根がつきやすくなります。葉っぱがたくさんついていると、枝が葉を維持しようとそちらに力を使ってしまうので、減らすなど調整しましょう。
実際に挿し木を行おう!
- 挿し木を行う枝(差し穂)を1時間以上、水に浸けてたっぷり給水を行う水揚げをします。
- きれいな赤玉土を用意し、そこに差し穂を差します。ポットは直射日光のあたらない、光が届く明るい場所で管理します。(私は、屋根付きのシンクの隅で発根させています。)
- 1日、最低でも朝晩の2回、ポットの下からたっぷり水が流れるくらい、水を与えてあげましょう。
発根までの期間
挿し木を行って、根が出るようになるまではおおよそ1ヶ月くらいです。挿し木を行った苗は2か月くらい経てば安定するので、きちんとした鉢などに定植します。冬差しの場合は、もう少し時間がかかります。
↑↑挿し木後、2か月が過ぎたくらいには新芽が出始めました。
↑↑こちらはポットの下からも根が出始めています。